再来が続かないのは「次」を伝えていないから
患者は、痛みが強いうちは通います。けれど少し楽になると、もう来なくていいのか、続けたほうがいいのかが分かりません。ここで院から何も言われなければ、多くは「もう大丈夫だろう」と自己判断で終わります。本当はあと数回続けたほうがよい状態でも、その見通しが伝わっていないだけで、足が遠のきます。
つまり、再来が続かないのは技術や料金の問題というより、最後のひと言が抜けているからです。新しい患者を広告で集めるより、一度来た人にもう一度来てもらうほうが、手間も費用も小さい。前の記事でも触れたとおり、足元の再来を固めるのが、集客の中でも効率のいいところです。やることは、施術の終わりに3つの運用を足すだけです。
初回に通院の見通しを伝える
最初の来院のときに、これからどう通うとよいかの見通しを伝えます。痛みの状態を説明し、よくなるまでにどのくらいの回数や期間がかかりそうか、どの間隔で来るのがよいかを、事実にもとづいて話します。誇張せず、確実なことだけを伝えるのが大事です。
見通しがあると、患者は「あと何回くらい」「どのくらいの間隔で」と、続けるかどうかを自分で判断できます。逆に、見通しがないまま施術だけして終えると、患者は次の行動を決められません。初回の説明は、その後の再来の土台になります。
次回の予約をその場で決める
見通しを伝えたら、次回の予約をその場で決めます。「また何かあればお越しください」で終えると、患者は自分のタイミングを計りかね、そのまま来なくなりがちです。予定として残らないからです。
間隔があいたら声をかける
予約を取っても、来院が途切れることはあります。間隔があいた患者は、院のことを忘れていきます。忘れられる前に、短く声をかけます。LINEやはがきで「その後いかがですか」と様子を尋ねる程度で十分です。
ここで売り込みにしないことが大事です。「今なら割引」のような誘いでなく、気にかけている姿勢が伝わる一言にとどめます。前の記事で見たLINEは、この声かけの道具として向いています。思い出すきっかけが届けば、不調がぶり返したときに、また院が選ばれます。
押し売りにしない線引き
再来をうながすことと、不要な通院を押し付けることは、別のものとして扱います。ここを誤ると、信頼を失い、保険の施術では制度上の問題にもなります。
大事なのは、患者が自分で判断できるよう、事実にもとづいて見通しを伝え、判断は患者に委ねることです。必要のない通院を無理に引き延ばすと、患者の不信を招きます。さらに、保険を使う施術で長期・頻回の通院を続けると、療養費の算定の面で問題になり、保険者の点検の対象にもなります。続ける理由を正直に説明し、無理に引き延ばさない。これが、信頼を保ったまま再来を増やす線引きです。
今やること、やらないこと
再来は、施術の終わりのひと手間で変わります。今やることと、やらないことを分けます。
今やる
- 初回に伝える通院の見通し(回数・間隔の目安)の言葉を、誇張せず事実で決める。
- 施術の最後に次回の予約をその場で取る流れを、日々の動作に入れる。
- 間隔があいた患者に、売り込みでない一言を、LINEやはがきで送る。
やらない
- 「また何かあれば」で終えて、次回の見通しも予約も伝えないこと。
- 必要のない通院を無理に引き延ばすこと。
- 声かけを「今なら割引」のような売り込みにすること。
- 保険の施術で、必要を超えた長期・頻回の通院をうながすこと。
再来は、技術を上げる前に、最後の声かけを整えるだけで変わります。見通しを伝え、次回を予約で決め、間隔があいたら思い出してもらう。必要な範囲を守りながらこの3つを続ければ、新患を追いかけ続けなくても、来院は安定していきます。集客を何から始めるかの全体像は、関連記事にまとめています。
よくある質問
出典・補足
本記事は、再来づくりの現場運用の考え方をまとめたものです。具体的な通院回数や間隔は、症状や患者の状態によって一人ひとり異なります。保険を用いる施術で、必要を超えた長期・頻回の通院は療養費の算定上の問題になり得るため、施術の必要性にもとづいて判断してください。声かけの道具としてのLINEの使い方や、口コミ・地図との関係は、関連記事を合わせてご覧ください。