まず知る、接骨院の広告規制
交通事故の集客を考えるなら、最初に押さえるのは集め方より広告規制です。柔道整復師法では、接骨院・整骨院が広告できる内容が、法律で項目を限って定められています。決められた項目以外は、広告に出してはいけません。これに違反すると、罰金の定めがあります。
つまり、「交通事故専門」「むち打ちを治す」「○○に効く」といった、症状名や効能・効果、「専門」をうたう表示は、そもそも広告に出せない内容です。近所の院が大きく掲げていても、それを真似てよい根拠にはなりません。まず、何が出せて何が出せないかを正確に知るところから始めます。
広告に出せること、出せないこと
法律で広告できると定められているのは、次の表の左側の項目です。右側のような効能・効果や症状名、「専門」の表示は、列挙に含まれないため出せません。
| 広告に出せる(法で定められた項目) | 広告に出せない(列挙にない) |
|---|---|
| ○ 施術者が柔道整復師である旨、氏名、住所 | × 「交通事故専門」「むち打ち」などの症状名・専門の表示 |
| ○ 施術所の名称・電話番号・所在地 | × 「治る」「効く」などの効能・効果 |
| ○ 施術日・施術時間 | × 「整骨」の語(「ほねつぎ」「接骨」は可) |
| ○ ほねつぎ(接骨)/予約・休日夜間・出張の施術/駐車設備 | × 「診療」「診察」など「診」の字(医科と紛らわしいため) |
| ○ 療養費の支給申請ができる旨(骨折・脱臼は医師の同意が必要な旨を明示する場合) | × 誇大な表現、体験談による効果の強調 |
出典: 厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関するガイドライン」(令和7年2月)。広告できる事項は柔道整復師法で限定列挙されています。2026年6月確認。
ホームページの扱い(グレー・安全側に)
「看板やチラシは無理でも、ホームページなら書けるのでは」と考えるかもしれません。ここは、はっきり固まっていない部分です。これまで、ウェブサイトは利用者が自分で見に行くものとして、広告規制の対象とは別に扱われてきた経緯があります。一方で、国はその扱いを見直す議論を進めています。
方針が定まっていない以上、ウェブだから何でも書ける、と考えるのは危険です。今後、規制の対象に含まれる可能性もあります。ホームページでも、効能・効果や「専門」をうたう表現、誇大な表現は避け、事実にもとづく案内にとどめるのが、後で書き直さずに済む安全な作り方です。
規制の中でできる伝え方
では、規制の中で交通事故の患者にどう伝えるか。答えは、派手な打ち出しでなく、事実を正しく伝えることです。やることは3つに絞れます。
- 自賠責で窓口負担なく通える仕組みを、事実として案内する。患者が知りたいのは「自分の負担はどうなるか」です。
- 正しい通院の流れ(まず医師の受診、その後に医師の同意・連携のもとで接骨院)を、正確に伝える。誤った順番を勧めない。
- 地図のプロフィールと口コミの土台を整え、近くで困っている人に見つけてもらう。
効能や「専門」で目を引くのでなく、困っている人が知りたい事実と、正しい手順を誠実に示す。これが規制に触れず、結果として信頼にもつながる伝え方です。
自賠責の正しい流れと、やってはいけないこと
交通事故のけがの施術費は、自賠責保険から支払われます。自賠責で請求する場合、患者の窓口負担は通常ありません。負担なく通えることは、患者にとって大きな安心です。ただし、流れを誤ると、保険会社とのやりとりや後のトラブルのもとになります。
基本は、まず医療機関で医師の診察を受けることです。そのうえで、必要に応じて医師の同意や連携のもとに接骨院へ通います。最初から接骨院だけ、という形は避けます。この順番を、患者にも正しく案内します。
今やること、やらないこと
交通事故の集客は、規制を知ることから始めます。今やることと、やらないことを分けます。
今やる
- 自院の看板・チラシ・ホームページに、症状名・効能・「専門」の表示が出ていないかを点検する。
- 自賠責で負担なく通える仕組みと、正しい通院の流れ(医師の受診が先)を、事実として案内できるようにする。
- 地図と口コミの土台を整え、近くで困っている人に見つけてもらう。
やらない
- 「交通事故専門」「むち打ちが治る」など、広告に出せない表示を掲げること。
- ウェブだから大丈夫と考えて、効能・誇大な表現を載せること。
- 通院日数の水増しや、実態のない施術の請求。
- 集客のために、必要のない通院を引き延ばすこと。
交通事故の患者は、負担なく通える先を探しています。だからこそ、派手な広告でなく、規制の中で事実と正しい流れを誠実に伝えるほうが、選ばれて、長く続きます。広告の細かな可否や自賠責の手続きは、所属団体や保険会社にも確認しながら進めてください。集客を何から始めるかの全体像は、関連記事にまとめています。
よくある質問
出典
- 厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関するガイドライン」(令和7年2月。広告できる事項は柔道整復師法で限定列挙、違反に罰則) mhlw.go.jp/content/10800000/001412682.pdf (2026年6月確認)
- 国土交通省「自賠責保険・共済ポータルサイト」(傷害による損害は治療関係費等を支払い、被害者の人身損害を補償) mlit.go.jp/jidosha/jibaiseki/ (2026年6月確認)
本記事は、広告規制と自賠責の基本をまとめたものです。広告の細かな可否やウェブの扱い、自賠責の手続きは運用が変わることがあります。実際の判断は、厚生労働省・国土交通省の最新情報、所属団体、保険会社にも確認してください。