HPは全院に必須ではない
まず前提から。痛みを抱えた人が近くの院を探すとき、最初に見るのは地図と口コミです。前の記事で見たとおり、Googleの地図(ビジネスプロフィール)を埋め切り、口コミを正規に集めていれば、「近くで見つかって、選んでもらう」という集客の土台は、ホームページがなくても回ります。
「ホームページがないと集客できない」という営業の言葉は、半分は売り込みです。土台がないうちにホームページだけ作っても、見つけてもらう入口は地図のままで、効果は限られます。だから、ホームページを作るかどうかは、必須かどうかでなく、自分の院に「地図ではできない役割」が要るかどうかで決めます。
地図とHPは役割が違う
地図とホームページは、競合するものではなく、担う場面が違います。地図は「近くで探している人に見つけてもらう入口」、ホームページは「見つけたあとに、詳しく伝えて選んでもらう場」です。下の表で、どちらが何に向くかを分けます。
| やりたいこと | 地図(無料) | ホームページ |
|---|---|---|
| 近くで見つけてもらう | 得意 | 補助的 |
| 口コミで選んでもらう | 得意 | 補助的 |
| 自費メニューを詳しく説明 | 手狭 | 得意 |
| 症状別に深い情報を載せる | 手狭 | 得意 |
| ネットで予約を受ける | 一部可 | 得意 |
| 採用の募集を出す | 不向き | 得意 |
地図は見つけてもらう入口、ホームページは詳しく伝える場。役割が重なる部分は少なく、土台は地図、深い情報はHPと分けて考えます。
作る価値が高い院
表の右側、ホームページが得意とする役割が、自分の院に当てはまるかで判断します。次のどれかに「やりたい」と思うものがあれば、作る価値が高い院です。
- 保険だけに頼らず、自費メニュー(骨盤矯正や姿勢の施術など)を、内容と料金まで説明して選んでもらいたい。
- 「腰の痛み」「交通事故のあとの通院」のように、症状ごとに詳しい情報を載せ、検索から来てもらいたい。
- 電話が取れない時間帯もあるので、ネットで予約や問い合わせを受けたい。
- 柔道整復師やスタッフを採用したく、院の考え方や働き方を伝えたい。
これらは、地図の限られた欄では伝えきれません。詳しく伝える場が要る、と感じた時点が、ホームページを作るタイミングです。
まだ作らなくていい院
逆に、次に当てはまるなら、ホームページより先にやることがあります。
- 地図の情報がまだ埋まっていない。写真も説明も薄い。→ 先に地図を埋め切るほうが、同じ手間で効きます。
- 更新する人も時間もない。→ 作っても放置になりがちです。
作るなら最小構成で
作ると決めたら、最初から立派なものを目指さないことです。役割を果たす最小構成から始め、必要に応じて足していきます。最低限そろえるのは次の5つです。
- 院の基本情報。場所、診療時間、連絡先。地図と必ず一致させる。
- 力になれる症状の説明。何に強い院かが分かるように。
- 料金の目安。保険の施術と自費メニューを分けて、分かる範囲で。
- 予約・問い合わせの導線。電話番号、予約ページやLINEへのリンク。
- スマホで見やすい作り。患者の多くはスマホで見ます。
大事なのは、自分で更新できる軽さです。凝ったデザインで業者頼みになると、料金変更ひとつに手間と費用がかかり、結局放置されます。シンプルでも、自分で直せるほうが長く役に立ちます。
今やること、やらないこと
ホームページの要否は、自分の院の役割から決めます。今やることと、やらないことを分けます。
今やる
- 地図の情報が埋まっているかを先に点検する。薄ければ、HPより先に地図を埋める。
- 「自費・症状別・予約・採用」のうち、自院にやりたい役割があるかを書き出す。
- 作るなら最小構成で、地図と情報を一致させる前提で計画する。
やらない
- 地図が空のまま、ホームページだけ立派に作ること。
- 更新する体制がないのに、凝ったサイトを業者任せで作ること。
- 「ないと集客できない」の一言で、役割を考えずに発注すること。
ホームページは、集客の入口ではなく、見つけたあとに深く伝える場です。地図と口コミの土台を先に固め、詳しく伝える役割が要ると感じたら、最小構成で作る。この順番なら、かけたお金がむだになりません。集客を何から始めるかの全体像は、関連記事にまとめています。
よくある質問
出典
- Googleビジネスプロフィール ヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善する方法」(地図で見つけてもらう土台=無料のビジネスプロフィール) support.google.com/business/answer/7091 (2026年6月確認)
本記事は、集客の役割分担の考え方をまとめたものです。ホームページ制作の要否や費用は、院の状況や目的によって変わります。発注の判断は、複数の制作先の説明も合わせてご確認ください。