なぜ口コミは待っても増えないのか

施術に満足した患者ほど、わざわざ口コミを書かずに帰ります。痛みが楽になれば、それで用は足りているからです。一方、不満を持った人は書く動機が強い。何もしなければ、書かれるのは不満のほうに偏りがちで、満足の声は地図に残りません。

だから口コミは、満足してもらえれば自然にたまるものではなく、お願いして初めて増えるものとして扱います。前の記事で見たとおり、口コミの数とスコアは地図の順位にも影響します。お願いの一言を日々の流れに入れるだけで、埋もれていた満足の声が形になります。

先に知る線引き(やると危ない集め方)

増やし方に入る前に、やってはいけない集め方を押さえます。順位を早く上げたくて手を出しがちな方法のいくつかは、Googleの規約違反であり、法律にも触れます。次の表のとおりです。

集め方可否理由
正直な感想をお願いする問題なし対価がなく、内容を本人に任せるなら、規約にもステマ規制にも触れない
割引・プレゼントと引き換え違反対価つきの口コミはGoogle規約違反。隠せばステマ規制(景品表示法)にも触れる
院のスタッフや院長が書く違反利用者を装う自作の口コミは規約違反。実態と異なる表示
業者にまとめて作らせる違反対価を払った第三者による偽の口コミ。発覚でプロフィール停止の対象

出典: Googleビジネスプロフィール ヘルプ「ポリシーの概要」、消費者庁「ステルスマーケティングの規制」(景品表示法・令和5年10月1日施行)。2026年6月確認。

ステマ規制で責任を問われるのは、書いた患者ではなく依頼した院の側です。対価を渡してそれを隠したまま書いてもらうと、広告なのに広告と分からない表示になり、景品表示法に触れます。悪質な場合は売上の3%の課徴金もあります。安く早く増やそうとした集め方が、かえって院を危なくします。やることは一つ、正直な感想を正面からお願いすることだけです。

お願いする流れを動作に組み込む

口コミは、覚えていたら頼む、では増えません。会計や見送りという毎日必ずする動作に、お願いの一言を固定します。誰に・いつ・どう頼むかを決めておきます。

誰に頼むか

全員に無差別ではなく、施術に満足してもらえた手応えのある患者にお願いします。「楽になった」「また来ます」と言ってくれた方です。満足が伝わった相手に絞ると、極端に低い評価は増えにくくなります。

いつ頼むか

満足が伝わったその場、施術後から会計・見送りまでの間が、いちばん頼みやすい瞬間です。日をあけて電話やメールで頼むより、その場の一言のほうが書いてもらえます。

どう頼むか

身構えずに、短くお願いします。たとえば「もしよければ、今日の感想をGoogleの口コミに書いていただけると励みになります」。星の数や書く内容は指定しません。内容を指定すると、本人の自主的な声でなくなり、規制の面でも危うくなります。あくまで正直な感想を、と添えます。

書いてもらう手間を減らす

お願いしても、書く手間が大きいと後回しにされて忘れられます。その場で開けて、すぐ書ける状態を用意します。

  • 口コミ投稿ページに直接飛ぶQRコードを作り、受付やお会計まわりに置く。その場でスマホから読み取ってもらう。
  • 短い案内カードを渡す。書き方の手順を1〜2行だけ添える。長い説明は要りません。
  • 院のGoogleプロフィールから出せる口コミ用のリンクを、LINEやメールの署名にも入れておく。
手間を減らすのは、内容を誘導することではない ページへすぐ飛べるようにするのは、手間を減らす工夫で問題ありません。一方、「こう書いてください」と文面を渡すのは、本人の自主的な声を損ない、規制の面でも避けるべきです。書きやすくすることと、内容を誘導することを混同しないようにします。

届いた口コミに返信する

口コミは集めて終わりではありません。届いた声に返信すると、書いた本人だけでなく、口コミを読んで院を選ぼうとしている人にも、ていねいに向き合う院だと伝わります。返信は数行で十分です。来院と感想へのお礼を、落ち着いた言葉で返します。

返信で気をつけるのは、患者の個人的な情報に触れないことです。どんな症状で通っていたか、いつ来たかなど、本人が口コミに書いていないことを院側から返信に書くと、来院の事実を院が明かすことになります。お礼と、また力になりたいという姿勢にとどめます。低い評価がついたときの返信のしかたは、別の記事であらためて扱います。

今週やること、やらないこと

制度や仕組みの理解より、明日からの動作を決めるほうが先です。今週やることと、やらないことを分けます。

今やる

  • 口コミ投稿ページへ飛ぶQRコードを作り、受付やお会計まわりに置く。
  • 施術後にお願いする一言を決め、満足が伝わった患者にその場で頼む流れにする。
  • 届いた口コミに、お礼の返信をする習慣をつける。

やらない

  • 割引やプレゼントと引き換えに口コミを書いてもらうこと。
  • スタッフや院長が利用者を装って書くこと、業者にまとめて発注すること。
  • 「星5でお願いします」のように、星の数や文面を指定すること。
  • 返信で、患者の症状や来院の事実など本人が出していない情報に触れること。

口コミは、正直な感想を正面からお願いし、書く手間を減らし、届いた声に返信する。この3つを毎日の動作に入れるだけで、規約と法律の範囲のまま、満足の声が地図に積み上がります。地図の順位への効き方は、関連記事の「Googleマップで上位に出るには」にまとめています。

よくある質問

患者に口コミをお願いするのは規約違反ですか?
正直な感想をお願いするだけなら問題ありません。違反になるのは、対価と引き換えに書いてもらう、内容を指定する、自分や業者が書く場合です。書く内容を本人に任せる形なら、Googleの規約にもステマ規制にも触れません。
「書いてくれたら割引」はなぜいけないのですか?
対価と引き換えの口コミはGoogleのガイドライン違反です。さらに、対価を隠して書いてもらうと、広告なのに広告と分からない表示になり、2023年10月施行のステマ規制(景品表示法)にも触れます。責任を問われるのは依頼した院の側です。
口コミはどのタイミングでお願いすればいいですか?
施術後、患者から満足が伝わったその場がいちばん頼みやすい瞬間です。会計や見送りの動作に一言を組み込みます。その場でスマホから開けるQRコードや案内カードを渡すと、帰ってから忘れられずに書いてもらえます。
悪い口コミがつくのが怖くてお願いできません。
お願いするのは施術に満足してもらえた患者です。全員に無差別ではなく手応えのあった方に絞れば、極端な低評価は増えにくくなります。低評価への返信のしかたは別の記事で扱います。怖さで止めるより、満足の声を残すほうが評価を支えます。
口コミには返信したほうがいいですか?
返信したほうがいいです。丁寧な返信は、書いた本人だけでなく、読んで院を選ぶ人にも誠実な対応として伝わります。返信では、患者の症状や来院の事実など本人が公開していない情報には触れないようにします。

出典

SOURCES | 一次情報
  1. Googleビジネスプロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールのポリシーの概要」(口コミへの対価提供・偽の口コミの禁止と停止措置) support.google.com/business/answer/13762416 (2026年6月確認)
  2. 消費者庁「ステルスマーケティングは景品表示法違反となります」(令和5年10月1日施行。広告であることを隠した表示が不当表示。責任は事業者) caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing (2026年6月確認)

本記事は、Googleの公式ヘルプと消費者庁の公表内容をもとにまとめたものです。規約や法令の運用は更新されることがあります。判断に迷う集め方は、各公式情報を合わせてご確認ください。

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