「業界の目安」より、自院の推移を見る

経営の数字を調べると、「客単価の目安は◯◯円」「再来率は◯◯%」といった数字が出てきます。つい、それを自院の目標にしたくなります。でも、出回る目安の多くは、出典がはっきりせず、どんな院を集めた数字かも分かりません。

そもそも、適正な客単価や再来率は、院ごとに違います。駅前で交通事故の患者が多い院と、住宅街で高齢者が多い院では、ちょうどよい数字が違って当然です。他院の目安に自院を合わせることに、意味は薄い。それより、自院の数字を毎月記録し、前月や前年と比べて、上がったか下がったかを見るほうが、はるかに確かです。比べる相手は、他院ではなく、先月の自分です。

見る数字は、4つに絞る

指標は、たくさんあります。でも、多すぎると、結局どれも見なくなります。まず見るのは、次の4つに絞ります。

見る数字何が分かるか
新患数患者が入ってくる入口。月に何人、新しく来たか。集客が効いているか。
再来率続いて通ってもらえているか。一度来た人が、また来ているか。
客単価1人あたり、いくらか。自費を含めて、単価が上がっているか。
自費比率保険にどれだけ頼っているか。保険が減っても回る厚みがあるか。

この4つは入口・継続・単価・依存度に対応します。まずここから、毎月記録します(2026年6月確認)。

この4つで、入口・継続・単価・依存度という、経営の基本がつかめます。指標を増やすのは、この4つを毎月見続けられるようになってからで十分です。少数に絞って続けるほうが、たくさん並べて見ないより、ずっと効きます。

前月・前年と比べて、理由を一つ探す

4つの数字を記録したら、読み方です。他院と比べるのではなく、自院の前月・前年と比べます。新患数が先月より減った、再来率が去年の同じ月より下がった、というように、自分の数字の動きを見ます。

そして、下がった指標があれば、なぜ下がったかの理由を、一つ探します。新患が減ったのは、何かをやめたからか、季節か。再来率が下がったのは、次回の案内をしなくなったからか。理由を一つに絞ると、どこに手を打つかが決まります。理由を探さずに数字を眺めるだけだと、不安になるだけで、次につながりません。

数字を、一つの行動に結びつける

数字を見ても何も変わらない、という声は多いです。原因は、見て終わりにしているからです。指標は、見るだけでは経営を変えません。下がった数字の理由を決めたら、それに対して、今月どこに手を打つかを、一つ決めます。

数字 → 理由 → 一つの行動、で初めて効く 新患が減ったなら、入口の手を一つ。地図のプロフィールを整える、口コミをお願いする、など。再来率が下がったなら、続けてもらう手を一つ。次回の予約を取る、見通しを伝える、など。数字を必ず、今月の一つの行動に結びつけます。すべてを一度に変えようとせず、いちばん効きそうな一つから。これを毎月繰り返すと、数字と現場が、少しずつかみ合っていきます。

数字・理由・行動を、ひと続きにします。これが、数字を経営に使うということです。

数字が苦手でも続ける形にする

数字が苦手で続かない、というのも、よくある悩みです。完璧に集計しようとすると、続きません。まずは、4つの数字を毎月一度、書き出すことから始めます。レセコンに集計の機能があれば、それを使えば手間は小さくなります。

大事なのは、精緻さより、毎月続けて、前と比べることです。最初は手書きのメモでも構いません。続けるうちに、数字の動きと、現場で起きていることが、つながって見えてきます。「先月チラシをまいたら新患が増えた」「次回予約を始めたら再来率が上がった」と、手と数字の関係が見えると、数字が面白くなります。まずは、続けられる形で始めます。

今週やること

経営の数字は、4つを記録するところから始めます。

今週やる

  • 先月の新患数・再来率・客単価・自費比率の4つを、書き出す。
  • 前の月や前年と比べて、上がった・下がったを見て、下がった一つの理由を探す。
  • その理由に対して、今月打つ手を一つ決める。

まだやらない

  • 出回る「業界の目安」を、自院の目標にすること。
  • 指標をたくさん並べて、結局どれも見なくなること。
  • 数字を見て、理由も行動も決めずに終わること。

経営の数字は、目安を探すのでなく、自院の4つを毎月記録し、前と比べ、下がった理由を一つ探して、一つの行動に結びつけます。少数に絞って続ければ、数字が苦手でも、現場とかみ合ってきます。自費比率や再来率の中身は、関連記事にまとめています。これで、業務・レセコンのテーマはひと通りそろいました。

よくある質問

客単価や再来率の「目安」は、いくつですか?
出回る「業界の目安◯◯」を、自院の目標にしないことです。適正な客単価や再来率は、立地や患者層によって院ごとに違います。出典のはっきりしない目安に自院を合わせるより、自院の数字を毎月記録し、前月・前年と比べて、上がったか下がったかを見るほうが、はるかに確かです。比べる相手は、他院でなく先月の自分です。
たくさんある指標の、どれを見ればいいですか?
数を絞ります。まず見るのは、新患数、再来率、客単価、自費比率の4つです。新患数は入口、再来率は続いて通ってもらえているか、客単価は1人あたり、自費比率は保険への依存度。この4つで入口・継続・単価・依存度がつかめます。指標を増やしすぎると結局どれも見なくなるため、少数に絞って毎月見続けます。
数字は、どう読めばいいですか?
他院と比べるのではなく、自院の前月・前年と比べます。新患数が先月より減った、再来率が去年より下がった、というように自分の数字の動きを見ます。そして、下がった指標があれば、なぜ下がったかの理由を一つ探します。数字は眺めるためでなく、次の手を変えるためのものです。理由が分かれば、どこに手を打つかが決まります。
数字が苦手で、続きません。
完璧に集計しようとせず、4つの数字を毎月一度書き出すことから始めます。レセコンに集計の機能があれば、それを使えば手間は小さくなります。大事なのは精緻さより、毎月続けて前と比べることです。最初は手書きのメモでも構いません。続けるうちに、数字の動きと現場で起きていることがつながって見えてきます。
数字を見ても、何も変わりません。
数字を見て終わりにしているのが原因です。指標は見るだけでは何も変わりません。下がった数字の理由を一つ決め、それに対して今月どこに手を打つかを一つ決める。ここまでやって、はじめて数字が経営につながります。新患が減ったなら入口の手を、再来率が下がったなら続けてもらう手を、というように数字を必ず一つの行動に結びつけます。

出典

SOURCES | 一次情報
  1. 厚生労働省「柔道整復、はり・きゅう、マッサージ、治療用装具に係る療養費の推移(推計)」(療養費は減少傾向。保険収入が細るなか、自院の数字を継続して見る背景) mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/111116_01.pdf (2026年6月確認)
  2. 厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(施術所は5万超で増加。1院あたりの環境を踏まえ、自院の指標を見る) mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/22/ (2026年6月確認)

本記事は、見るべき数字とその読み方の考え方をまとめたものです。適正な数値の目安は院の立地や患者層で異なるため、特定の目標値は示していません。自院の数字を継続して記録し、前月・前年と比べることをおすすめします。

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