キャッシュレスは「自費の高額」に効く
キャッシュレスを入れるかは、自費の高額メニューがあるかで、効き方が変わります。いちばん効くのは、数千円から数万円の自費施術です。高い金額になるほど、財布の現金が足りなくて払えない、という場面が起きます。カードや電子的な決済が使えれば、その場で気持ちよく払え、患者は続けやすくなります。
一方、保険の少額の窓口負担だけなら、効果は小さくなります。数百円の決済に手数料がかかると、割に合わないと感じる場面も出ます。だから、自費の柱があるか、患者から「使えますか」と求められているか。この二つで、入れる値打ちがあるかを判断します。
かかるコスト(手数料・端末・入金)
入れる前に、お金の三つを確かめます。決済のたびにかかる手数料、端末や月額の費用、そして入金までの日数です。
| かかるもの | 中身 |
|---|---|
| 決済手数料 | 決済ごとに、売上の数%。料率は決済の種類や会社で違う。 |
| 端末・月額 | 端末の費用や、月々の利用料がかかる場合がある。 |
| 入金までの日数 | 決済した分の入金は、その場でなく数日先になるのが通常。 |
料率や費用、入金の日数は決済の会社・種類で異なります。契約の前に確かめます(2026年6月確認)。
少額の決済が多いと、手数料の割合が重く感じられます。逆に、自費の高額決済が中心なら、手数料を払っても、払いやすさで続けてもらえる値打ちがあります。手数料・費用・入金の日数を出して、自院の決済の中身と合うかを見ます。
手数料は、患者に上乗せできない
手数料を見ると、つい「その分を患者に上乗せできないか」と考えたくなります。ここは注意が要ります。カードなどの決済では、手数料を理由に患者へ上乗せ請求したり、現金より高い料金を設定したりすることを、決済会社の規約で禁じていることが一般的です。
つまり、手数料は院が負担する前提で、料金や採算を考えます。上乗せ請求は規約違反につながり、決済が使えなくなることもあります。手数料を織り込んでも成り立つかを、自費の料金を決めるときに見ておきます。料金の決め方そのものは、関連記事にまとめています。
種類の選び方(患者の客層で)
キャッシュレスには、カードのタッチ決済、QRコード決済、交通系のものなど、いくつかの種類があります。選ぶ軸は、来る患者がふだん何を使っているか、です。
高齢の患者が多いなら、カードやタッチ決済が中心になりやすく、若い世代が多いなら、QRコードもよく使われます。あれもこれもと種類を増やすより、自院の患者によく使われるものを少数そろえるほうが、管理も楽です。迷ったら、まず使われそうなものを一つか二つ入れて、様子を見てから足します。
現金も残す 落とし穴
キャッシュレスを入れても、現金はやめないことです。これがいちばんの落とし穴です。現金しか持たない患者や、電子的な決済に不慣れな患者は、一定数います。現金をやめると、その人たちを取りこぼします。
キャッシュレスは、現金の置き換えではなく、選択肢の追加です。自費の高額に効かせ、現金も残し、手数料を織り込んで料金を考える。これで、無理なく入れられます。
今週やること
キャッシュレスは、自費と手数料を見てから入れます。
今週やる
- 自費の高額メニューがあるか、患者からキャッシュレスを求められているかを確かめる。
- 候補の決済の、手数料の料率・端末や月額の費用・入金までの日数を出す。
- 手数料を院が負担しても、自費の料金で成り立つかを確かめる。
まだやらない
- 手数料を患者に上乗せして請求すること。規約で禁じていることが多い。
- 現金をやめること。現金しか持たない患者と、不具合のときを取りこぼす。
- 使われない種類を、数だけそろえること。
キャッシュレスは、自費の高額メニューがある院ほど効きます。手数料を院が負担する前提で、自費の料金が成り立つかを見て、現金も残しながら入れる。これで、患者の払いやすさを増やしつつ、採算も守れます。自費の単価の決め方は、関連記事にまとめています。
よくある質問
出典
- 経済産業省「キャッシュレス」(キャッシュレス決済の種類・手数料・普及に関する施策の情報) meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/ (2026年6月確認)
手数料の料率や入金の条件、規約は、決済の会社・種類によって異なります。手数料の上乗せの可否を含め、実際の運用は各決済サービスの契約内容で確認してください。本記事は導入を判断するときの考え方をまとめたものです。特定のサービスの宣伝ではありません。