直接は回収しにくい 療養費も検査料も
費用を調べる院長がまず確かめたいのは、入れた分をどう取り返すか、です。先に押さえておきたいのは、エコーは直接の回収がしにくい道具だということです。理由は二つあります。
一つは、保険で取り返せないことです。エコーを使っても、柔道整復療養費の加算はありません。つまり、エコーで保険の売上が増えるわけではありません。もう一つは、検査料での直接の回収もしにくいことです。自費で検査だけを単体で課金するのは、すすめにくい領域です。エコーは施術に関わる判断の参考と、患者への説明に使う道具で、検査そのものを商品として売る前提の道具ではありません。だから「いくら稼ぐ機械か」では見立てを誤ります。
回収は間接で起きる 継続・自費・連携
では、入れた分はどこで返ってくるか。回収は、直接でなく間接で起きます。来院した患者への説明を通して、次の三つが深まります。
- 継続と再来。患部の状態を画面で見せて説明すると、患者は通う理由をのみ込みやすくなります。途中でやめるか、納得して続けるかは、この説明で変わります。
- 自費の理解。なぜこの施術が要るかを、画面を一緒に見ながら話せます。言葉だけより、自費の必要性が伝わりやすくなります。
- 医師との連携による信頼。骨折や脱臼の疑いを観察して医師へつなぐ動きは、患者と地域からの信頼につながります。
エコーの値打ちは、検査の売上でなく、この継続・自費・信頼にあります。回収を見るときは、ここが増えたかを見ます。なお、説明に使うことと、画像で診断することは別です。柔道整復師は超音波画像で診断はできず、診断は医師の業務です。骨折や脱臼の疑いは、自分で判断せず医師へつなぎます。
費用の見方 初期費用と毎月の固定費
間接で回収すると決めたら、次は費用の置き方です。費用は、入れるときに一度かかる初期費用と、毎月かかる固定費に分けて見ます。
機器そのものの値段は、機種や、新品か中古か、購入かリースかで幅があります。ここで具体の金額を一つに決めて書くと、自院の見積もりと食い違うので、見積もりは販売業者から実際の数字を取ります。固定費には、リースなら月額、購入なら保守や点検にかかる費用が入ります。超音波画像診断装置は薬機法の管理医療機器なので、保守体制や添付文書を確かめておくと、固定費の見落としが減ります。
回収の見方は単純です。この毎月の固定費を一つの線にして、説明を始めてから継続や自費がどれだけ増えたかを、その線と並べます。線を超えて増えていれば、間接で回収に近づいている、という見方になります。
リースと購入 経費の見え方が変わる
購入とリースでは、お金の見え方が変わります。購入は初期費用が大きく出ます。リースは毎月の支払いを経費にできるので、月額の固定費としてとらえやすくなります。先ほどの「毎月の線」と並べて見る回収の見方とも、リースは相性がよい置き方です。
どちらが合うかは、手元の資金と、固定費をどこまで持てるかで変わります。税務上の扱いは契約の内容で変わるため、顧問税理士にも確認します。ここで押さえたいのは、購入かリースかは、回収できるかどうかそのものでなく、毎月の負担をどう見せるかの違いだ、という点です。回収できるかは、その負担に対して間接の効きがどれだけ出るかで決まります。
「儲かる」と過大に見込まない
気をつけたいのは、回収の見込みを大きく取りすぎることです。エコーは、入れれば儲かる道具ではありません。療養費は付かず、検査料での直接回収もしにくいからです。販売元が出す回収月数は、うまくいった前提で組まれていることがあり、自院にそのまま当てはまるとはかぎりません。
間接の回収は、説明で患者の継続や自費が増えてはじめて成り立ちます。買っただけで増えるわけではありません。観察や読影の技術を習う時間も要ります。だから見込みは、控えめに置きます。増えたら回収に近づく、増えなければ近づかない。その当たり前を、はじめから織り込んでおきます。
回収の見方 自院で確かめる手順
最後に、元が取れるかを自院の数字で見る手順と、やらないことを並べます。
確かめる手順
- 毎月の固定費を出す。リースなら月額、購入なら保守や点検の費用を足して、一つの線にする。
- 説明を始める前と後で、継続・再来・自費がどう動いたかを並べる。エコーで説明した患者と、していない患者で、通院の続き方を比べる。
- その増えた分が、毎月の線を超えているかを見る。超えていれば、間接で回収に近づいている。
やらないこと
- 販売元の回収月数を、自院の数字に直さずうのみにすること。
- 検査料や保険で直接取り返そうとすること。療養費は付かず、検査の単体課金もすすめにくい。
- 新規の集患の数で回収を測ること。エコーは広告で集患する道具ではない。
エコーは、保険で元を取る道具ではありません。来院した患者の納得を深め、継続や自費、医師との連携の信頼につなげる、間接の道具です。その間接の効きを毎月の固定費と並べて見れば、元が取れているかは、自院の数字で確かめられます。費用の幅や機種の選び方は、関連記事で扱います。
よくある質問
出典
- 京都府/厚生労働省「柔道整復師による超音波画像診断装置の使用について(注意喚起)」平成29年9月29日(施術に関わる判断の参考とする超音波検査の取扱い、診断にあたる行為をしないよう注意喚起。平成15年9月9日通知・平成22年12月15日事務連絡を含む) pref.kyoto.jp/iryo/documents/290929.pdf (2026年6月確認)
- 柔道整復師法(昭和45年法律第19号)第17条(施術の制限=医師の同意がなければ脱臼・骨折の患部に施術不可、応急手当を除く)・第24条(広告の制限=広告できる事項の限定列挙) laws.e-gov.go.jp/law/345AC1000000019 (2026年6月確認)
- 厚生労働省「あはき・柔整広告ガイドライン(あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復の広告し得る事項等及び広告適正化の指針)」令和7年2月18日(施術方法・専門性は広告できない、違反は30万円以下の罰金) mhlw.go.jp/content/10800000/001412682.pdf (2026年6月確認)
本記事は、エコーの費用と回収を考えるときの整理です。エコーの取扱い・広告・療養費の要件、税務の扱いは変わることがあります。費用は機種・新品中古・契約で幅があり、特定の金額や回収月数を示すものではありません。実際の判断は、厚生労働省の最新情報、所属する団体、保健所、顧問税理士にも確認してください。特定の製品の宣伝ではありません。