改定はいつから・改定率はいくつか

施行日からです。柔道整復療養費の令和8年度改定は、令和8年7月1日の施術分から適用されます。厚生労働省の柔道整復療養費検討専門委員会が令和8年4月30日の会合で料金改定(案)をとりまとめ、令和8年6月1日付の通知で確定しました。医科の診療報酬改定が6月、柔整療養費が7月という並びです。

改定率はプラス0.60%です。これは令和8年度の医科の改定率(プラス0.28%)と、足元の物価・経済動向を踏まえて政府が決めた数字で、内訳は基本となる引上げ分0.14%に、物価上昇への対応分0.46%を上乗せした形です。直近の改定率と並べると、今回の0.60%は近年では大きい方に入ります。

改定年月柔道整復の改定率
令和2年6月0.27%
令和4年6月0.13%
令和6年6月0.26%
令和8年7月0.60%(うち物価対応分0.46%)

出典: 厚生労働省「柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)」令和8年4月30日(2026年6月5日確認)。改定率の内訳は、この改定案の資料に記載があります。

料金はどの項目がどれだけ上がるか

引上げは初検・再検と施術の基本となる項目に重点が置かれています。改定前と改定後を並べると、自分の院でよく算定する項目がどれだけ動くかが見えます。

項目改定前改定後(令和8年7月〜)
初検料1,550円1,560円
再検料410円420円
施療料(打撲・捻挫の初回)760円770円
後療料(打撲・捻挫)505円550円
温罨法料75円80円
冷罨法料85円80円
電療料33円46円

出典: 厚生労働省「『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準』の一部改正について」(保発0601第4号 令和8年6月1日)(2026年7月17日確認)。骨折・脱臼の整復料など、ここに載せていない項目もあります。

目立つのは後療料の引上げです。打撲・捻挫の後療料が505円から550円へ、45円上がります。電療料も33円から46円へ大きく動きます。冷罨法料だけは85円から80円へ下がり、温罨法料と同じ80円にそろえられました。1回あたりの単価は上がるので、改定後すぐは請求額が増える計算になります。ただし、次の逓減と合わせて見ないと、実際の手取りは判断できません。

2部位目の逓減という新しい考え方

今回の改定でいちばん請求に効くのが、ここです。これまで施術料の逓減は、3部位目以降を所定額の60%にする仕組みだけでした。令和8年7月からは、これに加えて2部位目の施術を80%に逓減する体系に変わります。後療料だけでなく、温罨法料・冷罨法料・電療料も2部位目の逓減の対象です。

区分逓減後の割合
2部位目80%(令和8年7月から新設)
3部位目以降60%
5か月超の長期75%
5か月超かつ1月10回以上の頻回50%

出典: 厚生労働省「『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準』の一部改正について」(保発0601第4号 令和8年6月1日)備考3〜備考5(2026年7月17日確認)。長期・頻回の逓減は2部位目逓減とは別に重ねてかかります。

後療料そのものは505円から550円へ上がりますが、2部位目はその80%で算定することになります。2部位を中心に請求してきた院では、単価アップと逓減が相殺し、見込みより手取りが伸びない場合があります。令和8年4月30日の改定案には、請求のほとんどが2部位以上である施術所の実態を今後さらに把握するという方針も書かれています。2部位前提の請求は、これからより見られる側に回ると考えておくのが正しい読み方です。

もう一つ、長期・頻回を数え始める日も変わりました。これまでは初検が月の16日以降なら翌月から5か月を数えていましたが、この例外が外れ、初検日を含む月から数えます。月の後半に初検した患者は、75%の逓減が従来より1か月早く来ます。初検料を算定できない場合もその日を初検日として数えます。長く来ている患者は、起算日を数え直しておくと安全です。

初検料・再検料の算定ルールの見直し

金額だけでなく、初検料を算定できる場面も変わります。初検料は1,550円から1,560円に上がる一方で、他の部位で施術が続いている場合や、施術の終了・中止後3月(歴月)が経過していない場合には算定できなくなります。同じ患者がまた来たから初検、という付け方は通らなくなる、と理解しておきます。

その代わり、施術の終了・中止後1月以上3月以内に行った施術については、初検料ではなく再検料を算定します。再検料も410円から420円に上がり、連続する2回の施術について算定できるよう、算定回数が広がります。初検料のみを算定して他の療養費の請求や自費施術を行うことは認められない、という整理も入りました。初検・再検の付け方は、改定後の規定に沿って一度見直しておくのが安全です。

明細書とその他のルール

改定は料金以外にも及びます。明細書については、これまでの「明細書発行体制加算」が「明細書発行加算(1回10円)」に名称を変え、明細書を発行した場合に算定できる形になります。明細書には負傷名または施術した部位を書く欄が新しく加わります。発行の都度交付するのが原則で、患者の求めに応じて1か月分をまとめて渡すことも引き続きできます。

そのほか、自分や家族への施術(自己施術・自家施術)が療養費の支給対象外であることが明確にされました。患者ごとに償還払い(患者がいったん全額を払い、後から保険者へ請求する方式)へ切り替えられる患者も見直され、「令和9年1月以降において、前月までの連続する12か月の間に、通算して8月以上かつ9部位以上について施術を受けている患者」が新たに加わりました。

ここは日付に注意してください。料金の改定は令和8年7月1日の施術分からですが、この基準が効き始めるのは令和9年1月です。同じ7月に始まるわけではありません。該当してもその場で償還払いになるのではなく、償還払い注意喚起通知、事実関係の確認、償還払い変更通知という順を踏みます。順の詳細と、自分の院で誰が当てはまるかの数え方は多部位・長期・頻回の記事にあります。

施術管理者の3年要件は「検討中」 施術管理者になるための実務経験を現在の3年から短縮するかどうかは、今回の改定では引き続きの検討事項とされ、まだ決まっていません。求人や独立の計画をこの短縮を前提に固めるのは、結論が出てからにします。

改定日までにやること

制度の全体像を覚えるより、7月1日に間に合わせる手元の作業が先です。順に片付けます。

改定日までに済ませる

  • 使っているレセコンが令和8年7月改定に対応するアップデートを出すか、いつ配信されるかを販売元に確認する。
  • 明細書の様式を、負傷名・施術部位の欄が入った新しい形に差し替える準備をする。
  • 2部位を中心に請求している患者を洗い出し、2部位目逓減でいくら変わるかを試算する。
  • 料金の掲示(明細書を有償か無償で交付する旨を含む)を、改定後の内容に更新する。

あわてなくてよい

  • 施術管理者の3年要件の短縮を当て込んだ採用・独立の前倒し。まだ決まっていません。
  • 料金改定だけを理由にした自費メニューの急な値上げ。逓減の影響を試算してから判断します。

改定率は近年では大きい部類ですが、単価アップと2部位目逓減は同時に効きます。改定後に手取りがどう動くかは、自分の院の請求の中身しだいです。料金表を眺めるより、よく出す部位数のパターンで試算し、レセコンの更新と明細書の様式を7月1日にそろえることが、改定に「合わせる」ということです。

よくある質問

改定はいつから始まりますか?
令和8年7月1日の施術分からです。専門委員会が令和8年4月30日に改定案をまとめ、令和8年6月1日付の通知で確定しました。改定率はプラス0.60%です。
後療料は上がるのに、なぜ手取りが増えないことがあるのですか?
後療料は505円から550円に上がりますが、2部位目はその80%で算定する逓減が新しく入るためです。2部位を中心に請求している院では、単価アップと逓減が相殺し、見込みより伸びない場合があります。
初検料はもう付けられなくなるのですか?
付けられます。ただし、他部位で施術が続いている場合や、施術の終了・中止後3月以内は算定できなくなります。終了・中止後1月以上3月以内の施術は、初検料ではなく再検料を算定します。
レセコンは買い替えが必要ですか?
多くは買い替えではなく、改定に対応するアップデートで足ります。配信の有無と時期を販売元に確認しておくのが確実です。明細書の様式変更にも対応するかをあわせて聞きます。
償還払いに変わる患者の基準が増えたと聞きました。
「令和9年1月以降において、前月までの連続する12か月の間に、通算して8月以上かつ9部位以上について施術を受けている患者」が加わりました。効き始めるのは令和9年1月で、料金改定の令和8年7月とは日付が違います。該当しても、償還払い注意喚起通知、事実関係の確認、償還払い変更通知という順を踏みます。

出典

SOURCES | 一次情報
  1. 厚生労働省「『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準』の一部改正について」(保発0601第4号 令和8年6月1日)※料金・逓減 mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/260605_01.pdf (2026年7月17日確認)
  2. 厚生労働省「『柔道整復師の施術に係る療養費について』の一部改正について」(保発0601第5号 令和8年6月1日)※患者ごとの償還払いへの変更 mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/260605_02.pdf (2026年7月17日確認)
  3. 厚生労働省「『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について(通知)』の一部改正について」(保医発0601第1号 令和8年6月1日)※初検料・再検料・明細書発行加算 mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/260605_03.pdf (2026年7月17日確認)
  4. 厚生労働省 事務連絡「『柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について(通知)』の一部訂正について」令和8年6月23日※明細書発行加算の算定開始日の訂正 mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/260629_01.pdf (2026年7月17日確認)
  5. 厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費の改定等について」(通知一覧ページ) mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/01-01.html (2026年7月17日確認)
  6. 厚生労働省「柔道整復療養費の令和8年度料金改定(案)」(第35回 柔道整復療養費検討専門委員会 令和8年4月30日 資料)※改定率の内訳、施術管理者の要件の検討状況 mhlw.go.jp/content/12404000/001696843.pdf (2026年6月5日確認)
  7. 厚生労働省「社会保障審議会(医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会)」 mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126707.html (2026年6月5日確認)

2026年7月17日に更新しました。公開時(2026年6月5日)は令和8年4月30日の改定案に基づいていましたが、令和8年6月1日付の通知で内容が確定したため、料金・逓減・償還払いの記述を通知の原文で置き換えています。料金の額は案から変わっていません。償還払いの新基準には「令和9年1月以降において」という時期が入り、数える期間は「直近1年間」から「前月までの連続する12か月」になりました。請求実務の判断は、厚生労働省の最新の発表と、所属団体・保険者の案内で再確認してください。

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